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ホーチミン主義国での資本主義政策導入の難しさ

ベトナムの夢と課題
―ホーチミン主義国での資本主義政策導入の難しさ
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7/7-7/14までベトナムのハノイ、ダナン、ホーチミンを回ってきた。
以下は、その取材した概要です。


1.国民が幸せになる国
ベトナムは南北が別の国だと考えている方がある。北は、国父ホーチミンが建国した国で、南はベトナム戦争で開放された国である。このため、政治の主導は北が中心で、ほとんどの政策は北で決まる、と言われる。
また、中国と同じ社会主義国と思って7/7-7/14まで回ってきたが、最後に「社会主義ではない。ホーチミン主義の国だ」との意見も聞いた。それは何か、と質問すると「国民が幸せになることが最終の目的だ」とのこと。幸福度で世界の国を測定すると、世界第2の満足度が高い国らしい。

2.バブルに踊った国営企業
数年前に、ベトナムでは国営企業の民営化、上場が進んだ。このため上場した大手企業はバブルで手元に資金が豊富になって、不動産など多角化経営に走った事例が多い。国有財産の民営化の名目で、個人の資産形成に役立った事例ともいえる。慣れない事業を展開して、大きなやけどを負っている企業もある。巨大国営企業は政府としても倒産はさせられない。銀行から借りた資金の返済が滞っている例もある。政府としても国営企業には大きな投資をさせられない、のが現実である。しかし、ここにもホーチミン主義が生かされて、貸出金利が1年前に12-14%まで上がったが、7/16から中央銀行の指導で12%まで下がるらしい。

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3.ベトナム人が日本で学ぶ
1945―1950年代は、国民のすべてが貧しかったので、日本からの経済支援は大きな意味があった。また、日本での教育研修に貧しいが優秀な方が応募できた。ところが、現在の留学生、研修生の選抜は、さまざまな制約があって、昔のようなタイプの優秀な人が集まらないらしい。たとえば、日本では現場の実習を重視するが、最近では、現場に行きたがらない人もいるらしい。また、現場の実習がいやで、研修の途中で帰国した事例もある。人材育成が重要だと言いながら、日本の教育システムを受け入れるには大きな壁があるようだ。他方、未熟練労働者の導入ができないため導入された「技能実習生」たちは、3年も日本の製造現場で働くと、日本流の考え方が理解できるようになる。


4.運営の不透明さは残るか
社会主義国の代表である中国と同様に、選抜されたエリートとその関係者と一般庶民との格差はある。上が不透明な運営をすれば、下はそれに従うのである。確かにやりすぎた国営企業の経営者は罰則を受けたが、エリートとしての体面は保証される。そうなれば、国民はたとえ罰則を受けてもエリートは庶民とは違う、と感じるのである。将来のベトナムが変化するとすれば、国民の贈り物主義、複数政党制の導入など政治体制の変革がある時かもしれない。
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5.ベトナム経済復興の兆しは
ベトナムの人口成長率は毎年100万人の増加である。人口9100万人と推計されるベトナムが、いずれ日本の人口を抜き時代がくる。年齢の若い世代が多い。この点が救いでもあり、またベトナムに期待するところである。先月のラオス、カンボジアと違って、海外から労働者を受け入れる必要はない。その豊富な労働力をどの分野で活用するかである。
一方、産業の変革も見てきた。今までの軽工業中心だと思っていたベトナム南部に石油化学や鉄鋼業など重工業の拠点が生まれそうな地区もある。このあたりが、ベトナム経済回復の鍵となりそうだ。(2012.7.14HCM)

写真は、上から1.全土の電力供給網、2.発電所、3.機内持ち込みが許されなかった洋酒。
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by tmothailand | 2012-07-15 19:45 | ベトナム