2007年1月31日から2月3日までの短期の滞在であったが、JETRO、商社、ソフト開発会社や日系の工業団地を訪問し、進出されている日系の自動車部品工場も見学をした。
1. 投資環境としてのベトナム
海外からの投資 ベトナムの計画投資省の数字では2004年723件、22億ドル、2005年922件、42億ドル、2006年11月までの数字であるが820件、76億ドルとなっている。
ハイフォンにある野村工業団地では、2002年から投資が急増し、現状では大半の工場用地が契約済みで、これから進出予定の中小企業 に対しては標準工場を提供している状況である。また、ハノイ・ノイバイ空港の近くにあるタンロン工業団地もほぼ完売しており、ハノイ周辺の県に第2工業団地を開設する準備をされていた。
2. では、ベトナム人気の背景は何か。
2005年JBIC調査によると日系企業にとってベトナムの魅力は次の通り。(企業数の比率、%)
① 安価な労働力(81.7) ②他国のリスク分散の受け皿(38.9) ③優秀な人材(38.1④現地市場の成長性(35.7)が上げられる。
JETROハノイでは、次の点がベトナムの優位性としている。
1) 政治の安定性(共産党一党)
2) 経済の持続的安定成長(05年:8.5% 06年:8.2% 07年:8.3%見通し)
3) 勤勉で優秀な人材(人口8300万人、まじめな国民性、労働力の安さ、地元労働が中心)
4) チャイナ+1(中国のリスクヘッジ、反日感情)
今回訪問した、ハイフォンの豊田合成も安価な労務費によるコスト競争力の確保、中国一極集中にたいするリスク分散が目的とされていた。
3. 日系企業の進出
工場を訪問した矢崎ハイフォン(2001年9月から進出)、*豊田合成(2004年9月)、キャノン(2001年4月)とも第1期進出以来生産が増え
て、工場は第2拡張、第3拡張期を迎えている。
日本からの投資実績
2003年 53件 1億ドル(2003年11月日越投資協定)
2004年 61件 2.2億ドル
2005年 107件 4.3億ドル
2006年11月 135件 10.1億ドル
ところが、88-2006年上期の投資の累積を見るとシンガポールや台湾の投資額が日本よりも大きい。
シンガポール 421件 76億ドル(14.4)
台湾 1470件 78億ドル(14.7)
日本 663件 66億ドル(12.4)
香港 364件 43億ドル(8.1)
韓国 1158件 58億ドル(10.9)
外国投資合計 6384件 534億ドル(100%)
シンガポール、香港は工業団地や住宅開発など不動産投資を行ったため、1件あたりの投資額が大きい。台湾や、韓国は中小企業の投資が大きいと見られる。
ようやく日本の投資が増えたとはいえ、日本からの不動産投資先にはなっていない。製造業中心の投資である。
4. ベトナムの抱える課題
社会主義政権ということから、政府の政策決定がいくつかの段階を経て決定されるせいか、議論の途中が外国人には見えないことがある。
ある日、突然発表ということもある。例えば、今年の3月に新しい祝日が誕生するという声明も、1月になってからである。年間の工場の
スケジュールを立てている企業にとっては休日出勤をさせるか、休日にするか判断が迫られるところである。
また、インフラの整備が整わないことから、昨年まで停電が進出企業の問題であった。今年、ベトナムは中国、ラオスなど周辺国からの
電力供給を受けることから心配は無い、とされているが、どうか。
2005年JETROが行った日系製造業の活動実態調査を見ると次の通り。
1) 投資環境面 インフラの整備が不十分、政府の不透明な政策運営、法整備の未整備
2) 生産面 原材料、部品の現地調達が難しい、調達コストの上昇、品質管理
3) 雇用・労働面 賃金上昇、中間管理職の採用難、技術者の採用難
5. 街の様子
4日間の短期の滞在であったが、足踏み状態のタイの経済成長と比べ、ベトナムの活況振りが印象に残った。項目的に指摘をすると、次の通り。
1) ハノイ 2001年当時と比べて、全体が明るくなった。 また、街のいたるところが建設ラッシュで、車の窓を開けると、乾季のせいもあって埃が多かった。
2) ハイフォン ハノイから85kmの国道5号線沿いに工場が並んでいる。 (*写真はフォード工場)
タイの感覚で、1時間で到着するのか、と思っていたが、約2時間はかかる。高速道路の整備状態も今からで、いつくかのポイントでは
道路の拡幅工事が行われていた。(*写真は高速道路の料金所)
3) ハノイの古い街並み ハノイ駅周辺には、まだまだ古い建物が残る。高層のホテルから見ても、市内にはフランスが統治した時代の古い建物が残り、ホーチミンとは雰囲気が異なる。
(*写真はハノイ市内)
4) 駐在員の住宅事情 現地に進出する日系企業の駐在員の悩みは住居。外国人向けのアパートは高くて1戸分が月1500ドル以上もするものもある。 一方、中小企業では1軒家を月あたり1000ドルで借り上げて、家政婦をつけて数名が暮らすところもある。
日本食事情 ハノイではホテル以外にも市内に日本料理、居酒屋も増えたが、ハイフォンでも日本食レストランができている。
ホテル日航ハノイの日本料理店「弁慶」で昼定食が10ドルからあった。 ハイフォンの野村工業団地の入り口にも、ラーメン店ができ、昼定食が5ドルからあった。
1. 投資環境としてのベトナム
海外からの投資 ベトナムの計画投資省の数字では2004年723件、22億ドル、2005年922件、42億ドル、2006年11月までの数字であるが820件、76億ドルとなっている。
ハイフォンにある野村工業団地では、2002年から投資が急増し、現状では大半の工場用地が契約済みで、これから進出予定の中小企業 に対しては標準工場を提供している状況である。また、ハノイ・ノイバイ空港の近くにあるタンロン工業団地もほぼ完売しており、ハノイ周辺の県に第2工業団地を開設する準備をされていた。
2. では、ベトナム人気の背景は何か。
2005年JBIC調査によると日系企業にとってベトナムの魅力は次の通り。(企業数の比率、%)
① 安価な労働力(81.7) ②他国のリスク分散の受け皿(38.9) ③優秀な人材(38.1④現地市場の成長性(35.7)が上げられる。
JETROハノイでは、次の点がベトナムの優位性としている。
1) 政治の安定性(共産党一党)
2) 経済の持続的安定成長(05年:8.5% 06年:8.2% 07年:8.3%見通し)
3) 勤勉で優秀な人材(人口8300万人、まじめな国民性、労働力の安さ、地元労働が中心)
4) チャイナ+1(中国のリスクヘッジ、反日感情)
今回訪問した、ハイフォンの豊田合成も安価な労務費によるコスト競争力の確保、中国一極集中にたいするリスク分散が目的とされていた。
3. 日系企業の進出
工場を訪問した矢崎ハイフォン(2001年9月から進出)、*豊田合成(2004年9月)、キャノン(2001年4月)とも第1期進出以来生産が増え
て、工場は第2拡張、第3拡張期を迎えている。
日本からの投資実績
2003年 53件 1億ドル(2003年11月日越投資協定)
2004年 61件 2.2億ドル
2005年 107件 4.3億ドル
2006年11月 135件 10.1億ドル
ところが、88-2006年上期の投資の累積を見るとシンガポールや台湾の投資額が日本よりも大きい。
シンガポール 421件 76億ドル(14.4)
台湾 1470件 78億ドル(14.7)
日本 663件 66億ドル(12.4)
香港 364件 43億ドル(8.1)
韓国 1158件 58億ドル(10.9)
外国投資合計 6384件 534億ドル(100%)
シンガポール、香港は工業団地や住宅開発など不動産投資を行ったため、1件あたりの投資額が大きい。台湾や、韓国は中小企業の投資が大きいと見られる。
ようやく日本の投資が増えたとはいえ、日本からの不動産投資先にはなっていない。製造業中心の投資である。
4. ベトナムの抱える課題
社会主義政権ということから、政府の政策決定がいくつかの段階を経て決定されるせいか、議論の途中が外国人には見えないことがある。
ある日、突然発表ということもある。例えば、今年の3月に新しい祝日が誕生するという声明も、1月になってからである。年間の工場の
スケジュールを立てている企業にとっては休日出勤をさせるか、休日にするか判断が迫られるところである。
また、インフラの整備が整わないことから、昨年まで停電が進出企業の問題であった。今年、ベトナムは中国、ラオスなど周辺国からの
電力供給を受けることから心配は無い、とされているが、どうか。
2005年JETROが行った日系製造業の活動実態調査を見ると次の通り。
1) 投資環境面 インフラの整備が不十分、政府の不透明な政策運営、法整備の未整備
2) 生産面 原材料、部品の現地調達が難しい、調達コストの上昇、品質管理
3) 雇用・労働面 賃金上昇、中間管理職の採用難、技術者の採用難
5. 街の様子
4日間の短期の滞在であったが、足踏み状態のタイの経済成長と比べ、ベトナムの活況振りが印象に残った。項目的に指摘をすると、次の通り。
1) ハノイ 2001年当時と比べて、全体が明るくなった。 また、街のいたるところが建設ラッシュで、車の窓を開けると、乾季のせいもあって埃が多かった。
2) ハイフォン ハノイから85kmの国道5号線沿いに工場が並んでいる。 (*写真はフォード工場)
タイの感覚で、1時間で到着するのか、と思っていたが、約2時間はかかる。高速道路の整備状態も今からで、いつくかのポイントでは
道路の拡幅工事が行われていた。(*写真は高速道路の料金所)
3) ハノイの古い街並み ハノイ駅周辺には、まだまだ古い建物が残る。高層のホテルから見ても、市内にはフランスが統治した時代の古い建物が残り、ホーチミンとは雰囲気が異なる。
(*写真はハノイ市内)
4) 駐在員の住宅事情 現地に進出する日系企業の駐在員の悩みは住居。外国人向けのアパートは高くて1戸分が月1500ドル以上もするものもある。 一方、中小企業では1軒家を月あたり1000ドルで借り上げて、家政婦をつけて数名が暮らすところもある。
日本食事情 ハノイではホテル以外にも市内に日本料理、居酒屋も増えたが、ハイフォンでも日本食レストランができている。
ホテル日航ハノイの日本料理店「弁慶」で昼定食が10ドルからあった。 ハイフォンの野村工業団地の入り口にも、ラーメン店ができ、昼定食が5ドルからあった。
by tmothailand
| 2007-02-08 21:47
| ベトナム